平成23年5月27日~6月30日 図書館4階展示コーナー
下絵や画稿は本画(作品)を描く前に画家が形を表す線描や構図や配色について別の小さな紙に推敲を重ねたものである。このような下絵や画稿を何枚も描いて本画の準備をする。
小さな紙に描かれた小下絵や大き な紙に描かれた大下絵がある。そして、決定された下絵や画稿を本画に写し取って本画の基本とした。西洋 画ではエテュード、エスキース、エボーシュ、デッサ ンなどの言葉で表わされる。
下絵や画稿は本画(作品)を描く前に画家が形を表す線描や構図や配色について別の小さな紙に推敲を重ねたものである。このような下絵や画稿を何枚も描いて本画の準備をする。
小さな紙に描かれた小下絵や大き な紙に描かれた大下絵がある。そして、決定された下絵や画稿を本画に写し取って本画の基本とした。西洋 画ではエテュード、エスキース、エボーシュ、デッサ ンなどの言葉で表わされる。
1 石崎光瑤筆 素描巻物 紙本着色 一巻
石崎光瑤(1884~1947)は富山県福光町に生まれる。東京で琳派の山本光一、京都で竹内栖鳳に学ぶ。
写実性と装飾性を融合させた画風を確立する。出品作品は屏風の下絵で、構図や鳥の配置や枝振りに推敲の跡がうかがえる。
2 谷口香嶠筆 画稿 紙本淡彩 一帖
谷口香嶠(1864~1915)は大阪の和泉市に生まれる。京都の幸野楳嶺に入門する。菊池芳文、竹内栖鳳、都路華香とともに楳嶺門の四天王と称される。歴史画を得意とした。この画稿にも『花咲爺』 や『常盤御前』の歴史画にも推敲の跡がうかがえる。
3 河村文鳳筆 群仙図下絵 紙本淡彩 一枚
虎を描いて有名な岸駒の弟子。人物・山水画を得 とした。特に人物画の運筆は「運筆縦横、手に随ってたちどころになる」と評された。群仙図の個々の人の運筆に注目。『文鳳画譜』や『文鳳漢画』のような画譜と下絵との関係も窺える。
4 塩川文麟筆 唐子遊下絵 紙本着色 二枚
塩川文麟(1801~1877)は京都に生まれ、四条派の岡本豊彦に絵を学ぶ。平明で、情趣的画風で人気があった。唐子遊び図は中国絵画を学んだ文麟の一面が窺え、完成に近い下絵である。
5 木村貫山筆 美人図下絵 紙本着色 二枚
下絵の裏に「貫山蔵」の墨書があり、木村貫山筆かと思われる。貫山は幕末に大阪で生まれ、京都の 山派の圓山応立に学ぶ。明治時代に活躍する。この和風美人は圓山派の様式で描かれている。
2 谷口香嶠筆 画稿 紙本淡彩 |
4 塩川文麟筆 唐子遊下絵 紙本着色 |
5 木村貫山筆 美人図下絵 紙本着色 |
(大阪芸術大学教養課程教授 田中敏雄 筆)