大阪芸術大学図書館 図書館所蔵品展

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図書館所蔵品展

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ヨーロッパ中世写本ファクシミリより 写本挿絵に見る キリストの復活

平成23年12月1日(木)~12月24日(土) 図書館4階展示コーナー

教会暦では、凍てついた大地が暖まり、植物が芽吹く春、キリストの復活を祝う復活際(イースター)がめぐってくる。復活祭が最も重要な祝祭日といわれる一方、キリストの復活は「聖墳墓参り」や「ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)」などによって表され、長い間それ自体があからさまに表現されることはなかった。復活祭劇においてキリストの墓を訪れるマリアたちは重要な役を演じ続けたのである。
15世紀の<トリノ=ミラノ時祷書>に見られるように、十字の幟を手に棺から立ち上がるキリストの姿が描かれるようになるのは12世紀半ばごろからである。復活に関しては4福音書に記述があるが、内容は微妙に異なっている。ここでは「マルコによる福音書」の記述を紹介する。

安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。彼女たちは、「だれが墓の入口からあの石を転がしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」婦人たちは墓を出て逃げ去った。震え上がり、正気を失っていた。そして、だれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである
(「マルコによる福音書」16:1-8)-新共同訳

<トリノ=ミラノ時祷書> フォリオ 77v.(撮影:写真学科:松田真) 画像
<トリノ=ミラノ時祷書>
フォリオ 77v.(撮影:写真学科:松田真)

<トリノ=ミラノ時祷書>では、イニシアルRの内側に「ノリ・メ・タンゲレ」(「ヨハネによる福音書」20:11-18)が描かれている。さらに下辺装飾(バ・ド・パージュ)には「魚から吐き出されるヨナ」(「ヨナ書」2:11)が描かれており、復活を暗示する。

(文芸学科教授 水島ヒロミ)

展示写本ファクシミリ

◆<ドロゴのサクラメンタリウム> パリ国立図書館所蔵 Ms. lat. 9428 850年頃
◆<ハインリッヒⅡ世の典礼用福音書> バイエルン州立図書館所蔵 Clm. 4452 1012年頃
◆<祝祭日のための福音書抄本> ブレシア市立クエリニアーナ図書館所蔵 Codex F.II.1 11世紀
◆<新約聖書> ヴァティカン図書館所蔵 Vat.lat.39 13世紀
◆<エクスルテット画巻> ヴァティカン図書館所蔵 Barb.lat.592 11世紀
◆<貧者の聖書> ヴァティカン図書館所蔵 Vat.Pal.lat.871 15世紀
◆<ベリー公の美しき時祷書> メトロポリタン美術館所蔵 ザ・クロイスターズ・コレクション1954(54,1,1) 1405/1408-9年
◆ <トリノ=ミラノ時祷書> <トリノ=ミラノ時祷書> トリノ市立美術館所蔵 Inv.No47 1447年頃

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