平成24年7月10 日~8月10日 図書館4階展示コーナー
バウハウス叢書は、1920年代後半に造形大学デッサウ・バウハウス学長のグロピウスと教授のモホリ=ナギとの共同編集によって創刊されている。当時バウハウスは、初期の「表現主義的な時期(1919-23)」の超越的な綜合観を超克することに努めており、その方策の一環として企画されたのが当バウハウス叢書である。当初の計画では、近代的な生活のすべてを包含する新しい綜合の理念の基礎がためを目指して、芸術、科学、技術の諸問題を広く取り上げることになっていた。しかし実際に刊行されたのは、建築、美術、デザイン、映像芸術、舞台芸術などをめぐる総計14巻にとどまり、バウハウスの「フォルマリスム的な時期(1922-25年)」から「機能主義的な時期(1925-27年)」にかけての基本的な造形理念や多彩な活動が所収されている。
当叢書の全体デザインは、モホリ=ナギが手掛けており、その体裁は黄色のクロス装で統一され、装丁は極めて機能的で簡潔であり、水平垂直の軸線、Bauhausという文字、叢書番号と表題、これらがデザイン要素のすべてである。さらに表題紙のデザインにおいては、力強い肉太文字と水平軸線によるテキスト分割が紙面に明確さと均整を与え、独自の視覚的効果を上げている。この極めて構成主義的な枠組みによって統一されたバウハウス叢書の体裁とタイポグラフィーは、バウハウスの視覚的イメージを速やかに刷新している。
また当叢書のカバー・デザインは、モホリ¬=ナギが9点の多くを手掛けているが、バウハウス関係者のファルカス・モルナール、アドルフ・マイヤー、オスカー・シュレンマー、ヘルベルト・バイヤー、さらにはデ・スティルの指導者テオ・ファン・ドゥスブルフが、それぞれ1点ずつ手掛けている。